心に残るセリフたち⑬~⑭
こんにちは、真です。
想像(イマジネーション)から創造(クリエイト)へ。
大好評連載中の(自画自賛笑)コーナー「心に残るセリフたち」をまとめてみました。
今回は⑬~⑭です。
自分が観たり、聞いたり、読んだり、歌ったりしてふれてきた芝居や映画、小説、エッセイ、音楽などから印象に残っているセリフ(ことば・歌詞・名言・コメントなども含め)を思いつくままに書いています。
書いているうちに横道にそれたりしながらもけっこう面白いエピソードを発見したり、思い出したりして楽しい時間です。
これを読んで同じ趣味だったり、関連する記憶を思い出したり、興味を持っったりしてもらえるとうれしいなぁと思います。
今回は日本の伝統古典芸能といわれる歌舞伎からです。
現在からすると古典と言う呼び方から高尚で難しそうでとっつきにくいイメージですが、江戸時代では当時の世相を現した最先端の娯楽でミュージカルショーですね。現代の歌舞伎も基本は継承しながらも想像力をさらに豊かに発展して広い世代に人気があります。今の宝塚歌劇やジャニーズの大掛かりなショーも歌舞伎の進化系ではないでしょうか。
亡くなった父が歌舞伎が大好きでテレビ中継をよく観ていました。昭和の名優の舞台は歌舞伎座に通ってよく観ていたようです。演劇界という歌舞伎の月刊誌も愛読していたようできれいに整理され本棚に何百冊とありました。父自身も芸事が好きで、若い頃のアルバムには着物姿でポーズを決めてとてもうれしそうに写っています。幼かった自分はブラウン管に映る(懐かし!)歌舞伎の芝居を隣で見ながら日本語ながらチンプンカンプン(笑)でした。ただ色とりどりの豪華な衣装や見えを切る時の動きや表情、音楽の響きに魅かれていることは確かでした。父とはほとんど会話する事はありませんでしたが、たま~~に歌舞伎のこと(〇〇って俳優知ってる?)と聞くとニコニコ笑顔で答えてくれたことを思い出します。その後、自分も躊躇なく芝居をやろうと決めていましたから、父のDNAを感じます。稲葉家のルーツを辿っていくと歌舞伎関係に繋がっているんじゃないかと思うとワクワクします。好きな番組ファミリーヒストリーで取り上げたら面白いだろうなぁ。
生の歌舞伎の舞台も観ましたが、20代の頃にカセットテープに録音した歌舞伎名セリフというのをウォークマン(懐かし!)でいくども聴いたセリフから紹介します。
『青砥稿花紅彩画』(あおとぞうしはなのにしきえ)
通称:白浪五人男(しらなみごにんおとこ)
「日本駄右衛門(にっぽんだえもん)・弁天小僧菊之助・南郷力丸・赤星十三郎・忠信利平」という、五人の大泥棒の因果を描いた話。
「浜松屋見世先の場」
「知らざあ言って聞かせやしょう。浜の真砂(まさご)と五右衛門が・・・・・・」という武家娘に女装した弁天小僧が、ゆすりに入った呉服商浜松屋で男がバレ、その場に居直り、男丸出しに威勢よくタンカを切り、自ら正体を明かすときのセリフも有名ですが、物語後半の場面。
「稲瀬川勢揃いの場」
石川五右衛門・鼠小僧と並ぶ大泥棒五人、ついに稲瀬川に追い詰められます。
番傘をさし男伊達の揃いの衣裳でずらり並んだ五人衆、群がる捕手に囲まれながらも、堂々名乗り決めポーズからの五人の頭領、日本駄右衛門のセリフが好きです。
「問われて名乗るもおこがましいが、産まれは遠州浜松在(えんしゅうはままつざい)、十四の歳から親に放れ、身の生業(なりわい)も白浪の、沖を越えたる夜働き、盗みはすれど非道はせず、人に情けを掛川から、金谷(かなや)をかけて宿々(しゅくじゅく)で、義賊と噂高札に、まわる配符のたらい越し、危ねぇその身の境界(きょうがい)も、最早(もはや)四十に人間の、定めは僅か五十年、六十余州に隠れのねぇ、賊徒の首領、日本駄右衛門」
韻を踏んだ日本語のおもしろさ、うつくしさが聴いていて心地よいですね。
YouTubeでいろいろな役者の同場面が観れますので比べてみるのも楽しいです。
でもやっぱり、生の舞台で観るのが一番!
五人揃ってゴレンジャー!」の台詞で有名な、戦隊ヒーローの先駆け「秘密戦隊ゴレンジャー」で、名乗りをあげポーズを決めるシーンは、白浪五人男の「稲瀬川勢揃いの場」がモデルらしいです。
※約100年後にこんな姿に変身されてるとは・・・(笑)
生涯に書いた演目は300余。歌舞伎に西洋劇の合理性を取り入れようと試行錯誤した坪内逍遥でさえ、新七のことになると「江戸演劇の大問屋」「明治の近松」「我国の沙翁(シェイクスピア)」と手放しで絶賛したそうです。
河竹黙阿弥さん、すてきなセリフをありがとうございます。(真
「生きる」は、1952年(昭和27年)公開の映画です。
黒澤作品の中でも、そのヒューマニズが頂点に達したと評価される名作で、その題名通り「生きる」という普遍的なテーマを描くとともに、お役所仕事に代表される官僚主義を批判しています。
第26回キネマ旬報ベスト・テン第1位。昭和27年度芸術祭賞。
市役所の市民課に勤める主人公が無気力に仕事をこなす中、自分が胃ガンであることを知り、それまでの自分の人生を振り返り市民課に寄せられてたらい回しにされていた公園を作ってほしいという要望に残りの人生をかけて頭の固い役所の上司などに粘り強く働きかけ遂に公園を完成させる…しかし主人公はその公園で死を迎える・・・
主人公の通夜の席上同僚達は主人公の功績を讃え自分達の今までの仕事を批判…しかし翌日にはいつもの役所仕事を続いている。だが主人公の作った公園には子ども達の明るい声が響きわたる…
というおおまかなストーリです。
映画は前半が死に直面した主人公が「生きる」ことを決めるまでを重くなるテーマながらユーモアと音楽でメリハリがあり、後半はなくなった主人公の通夜で関わった人たちの回想を交え推理劇のような場面展開と構成が観る者の想像力をかきたてて素晴らしいと思います。
心に残るセリフはたくさんありますが、今の自分に合っているから浮かんだ場面です。
不意に訪れた「死」に直面した主人公は、勤続30年を目の前にして役所を無断欠勤して自分の人生の意味を考え始める。
このまま死んでいいのか思い悩む主人公が飲み屋で小説家の男と出逢う。
かなり酔っている男は絶望している主人公の話を聞くと
「人生を楽しむことってね、これはあなた、人間の義務ですよ。」
「与えられた生命を無駄にすんのは神に対する冒涜ですよ」
人間は、生きることにこの貧欲にならなきゃ駄目!ね!」
「貧欲は悪徳と数えられてるがそんな考えは古いんだよ。貧欲は美徳、特にこの人生を楽しもうとする貧欲ね」
と語り僕が教えてあげましょうと夜の街へ連れ出す。
はじめての歓楽街での遊びもこれが自分のやりたいことなのかとすっきりしない日々を過ごす。
偶然、かつての自分の部下である若い女性と再会した主人公は、彼女の奔放な生き方と「課長さんも何かつくってみたら」という言葉に触発され、まだできることはあることに気づき表情が変わり「生きる」ことを決断する。
「いや、わしは人を憎んでなんかいられない。わしには、そんな暇はない」
無気力だった主人公はは市民公園建設に着手するため奔走するのだった。
黒澤映画というと「七人の侍」「羅生門」「用心棒」「椿三十郎」「赤ひげ」「影武者」「乱」など時代劇のイメージが強いですが、「素晴らしき日曜日」「天国と地獄」「悪い奴ほどよく眠る」「生きものの記録」等現代劇の名作も多数あります。アクション、サスペンス、ユーモア、ヒューマニズム、どれも黒澤明監督の人間賛歌・人間愛があふれています。
役者も適材適役とはこのことだと思います。
ストーリーだけでなく、カメラワーク、効果音、音楽のセンスどれもが世界の多くの映画創造者に影響を与えたのがわかります。
未見の方は古臭い、白黒、かたぐるしい・芸術・など思い込みのイメージがあるかもしれませんが、機会があれば初期の作品を気楽に観てほしいです。そして映画っておもしろいねって一緒に語りたいですね。
※黒澤作品には欠かせない名優・志村喬さん
※時代背景を平成に変えてテレビドラマにもなりました。主人公は先代松本幸四郎さんが演じました。前半の数十分しか観なかった記憶があります(^_^;)
※なんと今年10月にはミュージカルの舞台化されるそうです!
宮本亜門演出、主人公はWキャストで市村正親、加賀丈史さんが演じます。
もちろん、映画とは別物として観て比較などはしないほうがいいでしょうね!
※今観ると時代を感じさせる字幕?とナレーションがいいですね( ᐛ )و
黒澤明さん、すてきなセリフをありがとうございます。(真
☆心に残るセリフたち④~⑥☆彡
☆心に残るセリフたち⑦~⑨☆彡
いかがでしたか。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
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